
シルクペルシャ絨毯の選び方|密度・光沢・色柄で見分ける本物の価値
はじめに:ペルシャ絨毯の世界へようこそ
みなさんは「ペルシャ絨毯」と聞くと、どんなイメージを思い浮かべますか?「美しくて高価」「なんだか偽物が多いらしい」「骨董品のように難しそう」といった声を耳にすることもあるかもしれません。でも、本物のペルシャ絨毯は、まさに芸術品。手間暇を惜しまず織り上げられたその佇まいには、息をのむほどの壮麗さがあります。実際に見て触れる機会があれば、きっとその魅力に引き込まれるはずです。とはいえ、なかなか実物に触れる機会が少ない方も多いですよね。
そこで今回は、「何を基準に絨毯の良し悪しを見極めればいいの?」という疑問にお答えすべく、ペルシャ絨毯(特にクム産シルク絨毯)を選ぶ際に注目したい6つのポイントを、詳しく・面白くご紹介していきます。高値のイメージにとらわれる前に、ぜひ一度その魅力を覗いてみてください。読んだ後にはきっと「いつかは一枚ほしい…!」と思うようになるかも?
密度
ペルシャ絨毯を語る上で、まず注目されるのが“織りの密度”です。これは「ノット(結び目)」の数や細かさを表すもので、日本では単位面積あたりのノット数、ペルシャでは「ラジ(RAJ)」と呼ばれる独自の単位が用いられます。たとえば70ラジなら、7cmの幅に70個の結び目があるということ。数字が大きくなるほど織りは細かくなり、文様もくっきり見えます。
特にクム産のシルク絨毯で良質なものだと、1平方メートルあたり100万〜120万ノットが一般的で、1㎠あたり10〜11ノットという計算に。さらに上をいく140万ノット(1㎠あたり12ノット超)という超密度の絨毯も存在しますが、実は**「織りの細かさ=絶対的な良さ」ではない**というのが奥深いところ。あまりに結び目だけを追求すると、今度は色彩やデザインの魅力が失われる場合もあるのです。織りの密度は絨毯の品質を左右する大切な要素ですが、それが全てではない――ということを、ぜひ頭の片隅に置いておきましょう。
光沢
シルク絨毯と言えば、一目でわかるあの“ツヤ”が最大の特徴ですよね。まるで光を吸い込んで反射するような輝きは、繭糸の特殊な構造が生み出しています。シルクの断面は不均一な三角形で、そこに当たる光がいろいろな角度で反射されるため、ほかの素材にはない独特の光沢を放つのです。
さらに仕上げの段階で「シャーリング」という刃物で表面を削る工程を加えることで、より繊細なツヤが際立ちます。これを担当する職人は、ほんの少しの力加減や角度の違いによって仕上がりが変わるため、まさに熟練の技が求められる仕事。シルク糸のランクや洗浄方法も最終的な光沢に影響するので、いくつもの要素が重なり合って、あの美しいツヤが完成しているんです。
色柄
ペルシャ絨毯の魅力を語るとき、やはり“色と柄”は外せません。職人の感性や地域ごとに受け継がれてきたデザイン、歴史や文化の象徴がぎゅっと織り込まれているからこそ、工芸品としての価値が生まれます。特にクムは産地としての歴史こそ浅いものの、他産地の技術を取り入れながら、斬新で多彩な色彩表現を得意としています。色数が多い作品は、それだけ糸の色替えの手間や染めの工程が増えるので、当然コストもアップ。結果的に高額になる傾向があります。
大切なのは、「単に色が派手なだけ」ではなく、全体のバランスが取れているか。いくらたくさんの色を使っていても、まとまりがなく雑然としている絨毯は、一目見れば違和感を覚えます。また、色落ちしやすい染料を使っていると、時間が経つと鮮やかさが失われてしまうことも。染料の定着率や堅牢度といったポイントは、長く付き合ううえで無視できません。
織り目
表の美しさばかり注目されがちな絨毯ですが、**「裏を見るとその絨毯のすべてがわかる」**と言われるほど、裏面チェックは大事。裏面がきれいに、均一に織られているか、ノットの隙間に余裕がなく詰まっているか、緯糸がはみ出ていないか…といった点を確認してみましょう。
良質なシルク絨毯は、裏面も柔らかく、目の詰まりが均一。さらに、爪で軽くノット部分を引っ掻いたときに心地よい感触があり、耳障りな音もしません。こうした織り目の均一性は、やはり織り手の熟練度に大きく左右されます。職人の技が詰まった絨毯ほど、表だけでなく裏にも“品格”が備わっているんですね。
柔らかさ
シルク絨毯というと、思わず“ガラスケースに飾っておきたい!”なんて思う方もいるかもしれませんが、実は驚くほど柔らかいんです。上質なシルク100%の絨毯なら、タオルのようにくるくるっと折り畳めるほど。ふんわりした手触りは「本当にこれ、踏んでも大丈夫なの?」と心配になるレベルかも…。
この柔らかさは、素材そのものの高級性だけでなく、織り手の腕や、織りあがりの“叩き方”にも左右されます。横糸を通しては鉄櫛でトントンと押し込み、また通してはトントン…という地道な工程で、均一かつ適度な力で糸が詰められると、すべすべの触感になるんですね。職人の忍耐力や気質が絨毯の“性格”として表れるといっても過言ではありません。
手触り
最後は、やっぱり**「手触り」**です。シルク糸ならではの滑らかな肌当たりは、一度触れると虜になる人が多いとか。天然素材のシルクは人間の肌との相性が良いので、汗ばむ季節でも蒸れにくく、さらっと心地よい質感を保ちます。さらに、冬場は冷たい空気をシャットアウトしてくれるので、床に敷いても足元が温かいのが嬉しいところ。
もし実店舗でシルク絨毯に触れることができるなら、目だけではなく、ぜひ手でも確かめてみてくださいね。
まとめ:自分だけの一枚に出会うために
いかがでしたか?ペルシャ絨毯の選び方と言えば「結び目が多いものがいい」といった単純なイメージにとらわれがちですが、実際は密度・光沢・色柄・織り目・柔らかさ・手触りの6つの要素が絶妙に絡み合っています。どれか一つが秀でていても、ほかが伴っていなければ、その絨毯の魅力は半減してしまうかもしれません。
特にクム産のシルク絨毯は、近年では世界中で人気が高まっており、その革新的な色使いやデザインに注目が集まっています。もし「いつかは本物のペルシャ絨毯を」と考えているなら、まずは小さめのサイズから始めてみるのもおすすめです。実際に敷いてみると、お部屋の雰囲気がガラリと変わり、アートピースとしての存在感を存分に楽しめるでしょう。
もちろん、信頼できるお店でじっくり見せてもらうことが一番。ネットで写真を見るだけではわからない魅力が、ペルシャ絨毯にはたくさん詰まっています。いつの日か、みなさんが自分好みの一枚と出会い、じっくり愛でながら長く付き合っていくことができたら嬉しいですね。
それでは、今回のブログはここまで。最後までお読みいただき、ありがとうございました!次回は「ペルシャ絨毯をお部屋に取り入れるアイデア」や「お手入れのコツ」など、さらに踏み込んだお話もしてみたいと思います。どうぞお楽しみに。
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