
ペルシャ絨毯のサイズとその選び方
シルク絨毯のサイズ選び——部屋に合う最適なサイズを選ぶポイント
息をのむような光沢、指先で感じる滑らかな感触、そして緻密に織り込まれた芸術的な文様…。シルク絨毯は、それ一枚で空間の雰囲気を一変させる力を持つ、特別なインテリアアイテムです。リビングに、寝室に、あるいは玄関に迎え入れるだけで、日常がふわりと華やぎ、心まで豊かになるような感覚を覚える方も多いのではないでしょうか。
せっかく出会った美しいシルク絨毯の魅力を最大限に引き出し、長く愛用するためには、デザインだけでなく、お部屋との調和を考えたサイズ選びが欠かせません。
ここでは、特にペルシャ絨毯に代表される伝統的なサイズのバリエーションや、それぞれのサイズが持つ意味、そして現代の住空間に合わせた最適な使い方・選び方のポイントを、具体的なシーンを思い浮かべながら詳しくご紹介します。あなたのお部屋にぴったりの一枚を見つけるための、確かな道しるべとなれば幸いです。
まずは知っておきたい、ペルシャ絨毯の代表的なサイズ名称
ペルシャ絨毯には、古くから受け継がれてきた伝統的なサイズの呼び名があります。それぞれの名称には意味があり、元々の用途や敷く場所を反映しています。現代では必ずしもその用途に限定されませんが、サイズ感を掴む上で知っておくと便利です。
(※寸法はおおよその目安であり、工房や年代によって多少異なります。単位:cm)
ゼルテレポニ (ZirTeleponi) / 約30×45
意味: 「電話機の下」
特徴: 最も小さなサイズ区分。名前の通り、かつては電話機の下敷きとして使われましたが、現代では大切な花瓶や置物の下、あるいは小さな飾りマットとして、空間にさりげない彩りを添えるのに最適です。額装して壁に飾るのも素敵。比較的手頃な価格帯のものも見つかりやすく、シルク絨毯の美しさを気軽に試してみたい方にもおすすめです。

ポシュティ (Poshti) / 約60×90
意味: 背もたれ用のクッション
特徴: 日本の住空間では玄関マットとして非常に人気のあるサイズ。お客様を迎える最初の空間に敷くだけで、格調高い印象を与えられます。また、一人掛けソファの足元や、ドレッサーの前、ベッドサイドなど、パーソナルな空間のアクセントとしても活躍します。椅子の背もたれに掛けて使うという本来の用途も、インテリア上級者のテクニックとして面白いかもしれません。

ザロチャラク (Zaarocharak) / 約80×120
語源: 「ザロ」(約104cm) の「チャラク」(四分の一)
特徴: 少し広めの玄関や、リビング内のちょっとしたスペース、廊下に敷いて単なる通路を趣のあるギャラリーのような空間に変えるランナーとしても使いやすいサイズです。家具の少ないシンプルな空間に一枚敷くだけで、空間がぐっと引き締まります。

ザロニム (Zaaronim) / 約100×150
語源: 「ザロ」(約104cm) の「ニム」(半分)
特徴: ベッドサイドに敷けば、朝、目覚めて最初に足が触れるのがシルクの滑らかな感触…という贅沢な体験ができます。小さめのリビングエリアや書斎、一人掛けソファやパーソナルチェアの足元に、自分だけの特別な寛ぎスペースを作るのにも最適です。日本の住環境では非常に使い勝手の良いサイズと言えるでしょう。

ガリチェ(ドザル) (Galiche/Dozaar) / 約130×200
意味: 「ド」(2)、「ザル」(約104cm) で、2ザル程度の大きさ
特徴: 2~3人掛けソファの前や、4人掛け程度のダイニングテーブルの下にちょうど良いサイズ感。リビングの中心に敷けば、空間にまとまりが生まれ、家族が集う場所を温かく彩ります。お部屋の主役として、シルク絨毯の存在感を存分に楽しめる大きさです。
パルデ (Pardeh) / 約140×240
意味: 「カーテン」や「仕切り」
特徴: ガリチェよりも一回り大きく、広めのリビングやダイニングスペースに適しています。ソファセット全体をカバーしたり、空間を緩やかに仕切るような配置も可能です。壁に掛けてタペストリーのように楽しむにも迫力のあるサイズです。
ガーリィ(ドゥダルセ) (Ghali/Dodarse) / 約200×300
意味: 「ド」(2)、「セ」(3) で、約2×3mという大型サイズ
特徴: 広いリビングや応接室を、まるで宮殿のようにゴージャスに演出する力があります。大型のソファセットやグランドピアノの下などにも。このサイズになると、部屋全体を包み込むような、格別のラグジュアリー感を味わえます。これよりさらに大きなサイズも存在します。
モラッバ (Moraba) / 約100×100 など (正方形)
意味: 「正方形」
特徴: 長方形が一般的なペルシャ絨毯の中で、正方形タイプは織るのが難しく、生産数が少ないため希少価値が高くなる傾向があります。ユニークな間取りの空間や、円形テーブルの下、あるいはインテリアの意表を突くアクセントとして用いると、非常に個性的でお洒落な空間を演出できます。


後悔しない!シルク絨毯のサイズ選び【3つの重要ポイント】
伝統的なサイズ名称を知った上で、次はあなたの部屋に最適なサイズを選ぶための具体的なポイントを見ていきましょう。
ポイント1:部屋の広さと家具とのバランスを考える
- 広いリビングには… 200×300cm前後の大きめサイズを敷くことで、空間に一体感が生まれ、ラグジュアリーな雰囲気が高まります。ソファやテーブルなどの主要な家具が絨毯の上にゆったりと収まるように配置すると、視覚的に安定し、部屋全体が広く感じられる効果も期待できます。
- 廊下や限られたスペースには… 80×120cmや100×150cmといったコンパクトなサイズがおすすめです。空間に対して大きすぎる絨毯は圧迫感を与えがちですが、適切なサイズを選べば、空間を引き締め、洗練された印象を与えます。
- 玄関やソファサイド、ベッド脇には… 60×90cmや、さらに小さな30×45cmサイズを。「点」として配置することで、空間にリズム感と華やかさをプラスできます。
ポイント2:どう使う?用途に合わせたサイズ選び
- ダイニングテーブルの下に敷きたい場合: これが意外と難しいポイント。目安は、椅子を引いた状態でも、椅子の脚が絨毯の上に乗る大きさです。食事中に椅子を引くたびに絨毯の段差に引っかかるのはストレスですよね。テーブルのサイズだけでなく、「テーブル+椅子を引いたスペース」を考慮して、一回り大きなサイズを選びましょう。一般的にはテーブルの天板サイズ+左右前後それぞれ60~70cm程度の余裕を見ると良いとされます。
-
リビングのソファ周りに合わせたい場合: いくつかのパターンがあります。
- ソファの前に敷く: ソファの幅に合わせるか、少し大きめのサイズを選び、コーヒーテーブルなどを中央に置くスタイル。
- ソファの前脚だけを絨毯に乗せる: ソファと絨毯に一体感が生まれ、空間が広く見える効果があります。
- ソファ全体を絨毯の上に乗せる: 最もラグジュアリーな印象に。部屋の広さが必要ですが、空間全体が絨毯によって区切られ、落ち着いた寛ぎのエリアを作り出します。 どのスタイルを選ぶかによって、必要な絨毯のサイズが変わってきます。理想のレイアウトをイメージしながら選びましょう。
- 壁掛けやアクセントとして使いたい場合: 後述しますが、小さなサイズの絨毯(特に30×45cm、60×90cm)は壁に掛けてアートのように楽しむのも大変おすすめです。床置きとは違う魅力があり、空間のフォーカルポイントになります。
ポイント3:【最重要】「房(フリンジ)を含まない」表記に要注意!
これはペルシャ絨毯、特にシルク絨毯選びで見落としがち、かつ失敗しやすい最大のポイントです。多くのペルシャ絨毯は、サイズ表記に両端の「房(フリンジ)」の長さが含まれていません。
例えば「100×150cm」と表記されていても、それは絨毯本体の織り地の部分のサイズであり、両端にそれぞれ5~10cm程度の房が付いていることが一般的です。
もし、メジャーで測ったスペースに「ぴったり」のサイズを選んでしまうと…?
実際に敷いてみると、房の部分が壁や家具に当たってしまい、綺麗に収まらない、見た目が窮屈になる、房が傷みやすくなる、といった残念な結果を招きかねません。

失敗しないための対策:
- 購入前に必ず実寸を確認: 専門店に問い合わせて、絨毯本体の正確な寸法と、房の長さを確認しましょう。オンラインで購入する場合も、商品説明をよく読むか、問い合わせることが重要です。
- 「少し余裕を持つ」意識で選ぶ: 敷きたいスペースに対して、縦横ともに最低でも10~20cm程度の余裕を見ておくと安心です。この「ゆとり」が、美しい敷き姿とレイアウトの自由度を生み出します。
- 家具の配置をシミュレーション: 事前にメジャーで絨毯サイズを床にマーキングし、家具を置いた場合のイメージを確認しておくと、より確実です。
アートとして愛でる選択肢:壁掛けやアクセント使いも楽しもう
シルク絨毯の魅力は、床に敷くだけに留まりません。その宝石のような光沢と、絵画のように美しいデザインは、壁に掛けることで新たな表情を見せてくれます。
- 小さなサイズ(30×45cm, 60×90cmなど)をアートピースに: まるで額装された絵画のように、壁面に豊かな色彩、緻密な文様、そしてシルク特有の質感をプラスできます。玄関ホール、階段の踊り場、書斎の壁など、ふとした視線の先に飾るだけで、空間が一気に華やぎ、格調高い雰囲気に。
- フォーカルポイントを作る: カフェコーナーの上や、コンソールテーブルの上など、お客様の視線が集まる場所に飾れば、空間の印象を決定づけるアクセントになります。
- 美しさを長く保つ: 床に敷く場合と比べて、汚れや擦り切れのリスクが格段に少なくなります。シルクの繊細な輝きと色彩を、より長く、良い状態で保つことができるのも大きなメリットです。
壁掛け用の金具なども市販されていますし、専門店に相談すれば適切な方法を教えてくれるでしょう。床のスペースに余裕がない場合でも、シルク絨毯の美しさを存分に楽しむことができる素晴らしい方法です。

まとめ:サイズ選びこそ、シルク絨毯で理想の空間を創る鍵
インテリアを一瞬で格上げし、日常に豊かさをもたらしてくれるシルク絨毯。その魅惑的なデザインや色合いに心を奪われがちですが、理想の空間を実現するためには、実は「サイズ選び」こそが最も重要な鍵を握っています。
部屋全体に一体感とラグジュアリーな雰囲気をもたらしたいなら、思い切って大きめのサイズを。ソファやテーブルとのバランスも取りやすく、空間に安定感を与えます。
一方、玄関や廊下、ちょっとしたパーソナルスペースには、コンパクトなサイズを効果的に使うことで、空間が引き締まり、洗練されたアクセントとして活躍してくれます。
そして、忘れてはならないのが「房を含まないサイズ表記」への注意。「部屋の寸法ぴったり!」は、思わぬ落とし穴になる可能性があります。必ず実寸を確認し、少し余裕を持ったサイズを選ぶことが、失敗を防ぎ、美しい敷き方を実現するコツです。
さらに、シルク絨毯ならではの選択肢として、壁に掛けてアートのように楽しむ方法もぜひ検討してみてください。床置きとはまた違う、その美しさと存在感に魅了されるはずです。
こんな使い分けがおすすめです:
- 「家族が集うリビングを、もっと広く、豪華に見せたい」 → ソファセットをゆったりカバーできる200×300cm以上の大型サイズを。
- 「お客様を迎える玄関や、単調になりがちな廊下に華やかさをプラスしたい」 → 80×120cmや100×150cmなど、空間を引き締めるアクセントサイズを。ランナータイプも効果的。
- 「自分だけの書斎やベッドサイドに、特別な心地よさが欲しい」 → 100×150cmや60×90cmで、パーソナルな寛ぎ空間を演出。
- 「美しい絨毯を、絵画のようにじっくりと鑑賞したい」 → 30×45cmや60×90cmの小ぶりなサイズを選び、壁掛けアートとして。
部屋の広さ、置きたい家具、そしてご自身のライフスタイル。これらをじっくりと考えながらシルク絨毯のサイズを選んでいくプロセスは、まさに「自分だけの理想の空間を創り上げる」楽しい時間です。
ぜひ今回のサイズガイドを参考に、あなたのお部屋に最高にマッチする一枚を見つけ、シルク絨毯がもたらす豊かで心地よい毎日をお過ごしください。
【ペルシャ絨毯選びのご相談はこちら】
ペルシャ絨毯専門店ゴレスタンでは、お客様のお部屋やライフスタイルに合わせた最適なサイズ選びをサポートいたします。豊富な品揃えの中から、専門スタッフが丁寧にご案内させていただきますので、お気軽にご相談ください。
- 実店舗でサイズ感や質感を確かめる: 店舗住所・アクセス情報へ
- オンラインストアで様々なサイズの絨毯を見る: オンラインストアへ
- サイズ選びや在庫に関するお問い合わせ: お問い合わせフォームへ
皆様のご来店、お問い合わせを心よりお待ちしております。
シェア